富山県議会 代表質問において、9月の予算特別委員会に引き続き区画線整備に関する質疑応答が行われましたので、紹介します。
このような質疑応答により議論を深め、今後薄くなっている区画線整備が進むことを期待しております。
<令和5年11月 富山県議会定例会 代表質問>
日 時:令和5年11月30日(木)
質問者:武田慎一 委員(自由民主党)
回答者:市井昌彦 土木部長
回答者:石井敬千 警察本部長
質問内容:県管理道路における路面標示の計画的な引き直し
>武田委員
道路のセンターラインや外側線をはじめとした区画線や横断歩道などの道路標示については、車両だけでなく歩行者の安全のためにも必要不可欠でありながら、本県のような降雪地域では、道路除雪の影響等でやむを得ない事情もありますが、「白線が消えている」、「長い間そのままになっている」という声を耳にします。
人口減少や技術革新が急速に進む中で、車両の自動運転は様々な社会課題を解決する手法の一つとして期待されており、実際に日本各地で社会実装に向けた実証実験が進められております。自動運転には、GPS等による位置情報の推定とともに、電波が届きにくい場合には道路画像から得られる区画線や道路標示を読み取って制御する必要があり、路面標示は自動運転を支える重要な社会インフラの一つであるとも言えます。
安全・安心な道路環境を確保するとともに、様々な社会課題を解決する手法として期待される車両の自動運転の社会実装にも備えるため、路面標示の引き直しを計画的に進めるべきと考えますが、施設を設置、管理する市井土木部長、そして石井警察本部長に伺います。
>市井土木部長
県管理道路のうち区画線の設置されている道路は約2,250キロメートルございます。また、年間に引き直す区画線の延長は、過去5か年の実績で年間約400キロメートルとなっております。
例年、工事を雪解け後に行うため、主として県単独事業のゼロ県債により予算措置しております。昨年度は、ゼロ県債で前年度より5,000万円多い2億円を確保し、今年度も同規模となるよう今議会の補正予算案に盛り込んだところでございます。
議員お尋ねの区画線の引き直しの計画につきましては、道路の利用状況や機械除雪の有無等により剥離や摩耗の速度が一律ではないことから、特にサイクルは定めずに、雪解け後の調査や地元からの情報提供を踏まえ、交通量や通学路の指定、損傷の度合いなどを考慮の上、施工箇所を選定しておるところでございます。
区画線は、道路交通の安全を確保する上で必要不可欠な道路施設であり、その適切な管理を求める地域からの声も大きく、また新たな役割も求められているところでございます。他県等では、AIを用いて線のかすれ具合を評価するシステムの導入により効率的な引き直しを目指しておられる広島県福山市や神奈川県警などの先進的な取組もございます。
道路管理者といたしましては、区画線を適切に引き直し、また、そのための予算も確保し、将来にわたりその機能を保っていく必要があると考えております。他県での取組も参考にして、交通管理者である県警とも連携しながら安全・安心な道路環境の確保に取り組んでまいります。
>石井警察本部長
県警察が管理する区画線、横断歩道、停止線及びはみ出し追越し禁止の黄色実線等の道路標示につきましては、道路上の危険防止や交通の安全、円滑の確保の目的で設置しており、その維持管理は安全・安心な道路環境の確保の観点から重要と認識しております。
自動運転車両の社会実装に備えるためにも区画線や道路標示を適正に維持管理することが必要と認識しており、県警察では、毎年、冬期間の除雪などにより損耗した箇所を中心に早期の塗り替えに努めております。具体的には、ゼロ県債を活用し早期の発注に努めているほか、警察官の街頭活動や地域住民からの情報提供などを基に標示の薄くなった箇所を把握した上で、事故の危険性等を踏まえながら計画的に行っております。
今後は、他県警察におけるAIを活用して消えかけている白線などの道路標示を検知し早期補修につなげるなどの先進的な対策について研究するなど、引き続き効率的な維持管理の手法を検討してまいります。
県警としては、引き続き土木部をはじめとした道路管理者とも連携しながら安全・安心な道路環境の確保に努めてまいります。